ベーシックインカムと刑務所予算削減

さて、BIにより刑務所予算を減らせ!と主張する人がいる。
世の中には食えなければ刑務所に食わせてもらおうと考えるケシカラヌ人がおり、BIを導入すればそういう人達は犯罪を犯さなくなるであろう、という説である。確かにそういう人は多かろう。

ではBIにより刑務所予算がどの程度削減できるか検討してみよう。

さて、平成20年(2008年)の収監者は犯罪白書によれば76881人。
その経費は下記のHP(2005年)によれば一人当り263万円/年らしいのだが、経費算出の根拠が書いていないのであてにならない。
しかしながら、毎度のようにあまりよいソースが見つからないので、ここではこれを正しいものと見なして採用することにする。


法務省が運営する刑務所は全国に五十九か所、少年刑務所九か所、拘置所が七か所。二〇〇四年の収容人員は、前年に比べ三千四百人増加の七万五千二百八十九人、収容率は一一七パーセント。本年から、更にPFIによる刑務所が二か所建設予定であります。出所後の再犯率は五九パーセント。一人当たりの経費年二百六十三万円は、私たちの税金で賄われています。


警察官の負担と増員について

すると刑務所の経費は76881*263万円=約2000億円ということになり、120兆円のBIと比較すると1/600である。
BI導入により収監者数が半減し、約1000億円が削減可能だとしよう。
しかしそれは、BIの予算からすると0.1%にもみたず、誤差範囲にすぎない。刑務所の予算を削減する目的でBIを導入するのは論外と言っていい。(ただし、実際は警察官の増員も絡んでくるので、犯罪がらみの経費と言うことであればもう少しは増えるだろう)

福祉に必要な予算が桁違いであることを認識していないとこのようなおかしな主張をすることになるのだ。